【国会レポート】突然襲ってくる竜巻にどのように備えればいいのか【2013年8号】
大きな自然災害は突然やってくるものです。9月2日午後2時から2時半ごろにかけて埼玉県越谷市と千葉県野田市などで竜巻が発生しました。
私がこの竜巻の第一報を聞いたのは当日の3時半くらいでした。翌3日午前9時には、私と同僚国会議員のほか、畠山県会議員、そして地元越谷市の議員が現地に集合し、その後、被災現場に駆け付けたのでした。
竜巻被害で発揮される地域社会の相互扶助
越谷の被災地域で最も大きな被害を受けたのが学校の給食センターでした。ヘルメットをかぶってその建物の内部に入ってみると、一面に割れたガラスが散乱しており、天井の一部がはがれていた場所もあります。給食センターの職員の方から話を聞いたところ、竜巻に襲われた様子を次のように語ってくれました。
「黒い竜巻が見えたと思ったら、一瞬にしてそれに巻き込まれてしまいました。もちろん逃げるにも逃げられず、何とか机の下や柱の陰に隠れるのが精一杯でした。」
私が竜巻の被害を見たのも今回が初めてです。竜巻が通過したところは電信柱が倒れており、縦3メートル横5メートルもの大きな鉄の屋根が100メートルくらいも飛んできて電信柱にへばり付いている光景も目にしました。死亡事故が起きても不思議ではないくらいの突風のすさまじさです。
被害の幅の狭い竜巻の場合、同じ地域でも大損害を受けたところとまったく被害がなかったところが鮮明に分かれているのですが、そこが地域全体が被害を受ける地震や台風などとの最大の違いです。
つまり、町内会全体が被災するのではなく町内会の幅100~200メートルだけが甚大な被害を受けることになります。実際、越谷市では地域の人たちが総出で瓦礫処理や物の運搬、吹き飛ばされた屋根にブルーシートを張るなどの援助を行っていました。改めて相互扶助が働く地域社会の大切さを痛感したのでした。
3日午前中に被災地を回った後、午後1時から越谷市長と会って、国や県として被災対応で協力できる点について意見交換を行いました。
今後の竜巻被害への取り組みについて
私もまさかこんなに大きな竜巻被害が都市部の埼玉県で起こるとは想定していませんでした。地震や台風の防災マニュアルはあっても竜巻の防災マニュアルはありません。今後、竜巻のような限定的な激甚災害に、国として災害補償のあり方や予報の充実についても、しっかりと取り組んでいかなければなりません。
昨年の茨城県つくば市での竜巻の際には、翌日には私の知り合いの副大臣が被災した現場に入って状況を把握し被害への対応を行いました。したがって今回の政府の対応も昨年つくば市での対応に基づいて対策を打っていると思います。また、国会では各省庁を呼んで、今回の竜巻被害に対する政府の対応をヒアリングするとともに、今後の防災上の改善点について話し合いました。今の段階では竜巻を特定したものではないものの、既存の法律による竜巻災害への補償は行うことができます。例えば、被災者生活再建支援法という法律が発動できるのです。これには、たとえば人口10万人を超える自治体なら全壊した家屋が10世帯以上なくてはならないというような要件があるのですが、その要件を満たせば、被災者に対し被害状況に応じた支援金を支給することができます。
これは案外知られていないのですが、一般的な火災保険でも竜巻被害は補償の対象となっています。一般的な火災保険には風災の補償が最初から備わっており、竜巻は台風と同じく風災の一種である旋風・暴風と解釈されるからです。(個別には保険会社にご確認ください。)
後日、私の事務所からも越谷市の災害ボランティアに、所員を派遣させていただきました。