【国会レポート】人に頼らず子育てしていること【2021年4号】

私が配布しているレポートに時々返信用のハガキを添えることがあります。女性の方から、共働きで分別する時間も無いので、住む市町村を選ぶ際には、「分別しなくてもゴミ出しできるところを選びたい」と書かれていました。

働くために自動車もスマホも所有しているけれど、子育てしながら、共働きで、月々の家賃の支払いもあります。環境への配慮が分別であることは十分理解していますが、寄せられたご意見に、子育てや共働きで、生活するためには、ますます時間の制約が厳しくなってきていることが読み取れます。

Yahooニュースで取り上げられると

昨年の緊急事態宣言の際、NPO法人キッズドアは、外資系金融機関であるゴールドマン・サックスからの寄付で、未就学児から中高生まで、9,787人、4,779世帯の子供たちに文房具を配布しました。Yahooニュースで取り上げられたところ、6日間で申し込みは終了したそうです。先日、キッズドアを訪れ、受け取った子どもたちやお母さん、お父さんから寄せられた1,835通を超えるハガキを一枚一枚すべて読ませて頂きました。

「社会には様々な人がいると子どもに教えていますが、今回の件で「世の中にはこんな優しい人もいるんだね」と嬉しそうでした。」、「お絵かきが大好きな4歳児にぴったりで、すぐに塗り絵をはじめました」、「いっぱい勉強して、大人になったとき、僕が寄付できるように頑張ります」、「コロナで気持ちが沈んでいる中、あたたかい気持ちに触れ感動しました」。子どもたちからのメッセージは、絵が描かれていたりして嬉しい気持ちで溢れていますし、お母さんやお父さんから寄せられたハガキは、しっかりと書き込まれています。

「いつもは5冊195円のノートなのでcampusノート5冊に見とれてしまいました」。クレヨンやスケッチブック、定規セット、学習ノート、色鉛筆などを受け取った方からの言葉です。家庭によっては、クレヨンやスケッチブックは買えるとは思いますが、もっと他に優先すべき、例えば、食べ物などの支出があり、それで、申し込みされた方もいらっしゃったかと思います。「節約が続いていて食べたいものも食べさせてあげてないので本当に助かります」。読んでいて、皆さん、ご自身で乗り切ろうとしている、人に頼らず子育てしていることが伝わってきます。

食事はとれているか、今でも通じる問い掛け

「要求なきところに予算配分なし」、行政は要求がないところは問題がない、満足していると見なします。しかし、政治は、声を上げるだけの力が弱い方々、ぎりぎりで踏み止まっているので、声を上げるだけの余裕がない方々の声を受け止めて、政策を立案し、多くの方の賛同を得て実現することが役割と考えています。

1972年に日中国交正常化を成し遂げた田中角栄氏は、人に会うと、「メシ食ったか」と声を掛けていたそうです。その問い掛けは、再び、重い響きを持ち、今でも通じると思います。朝、学校で「今日、朝ごはんを食べたか、お腹は空いていないか」とみんなに分からないようにそっと聞いてみる。そして、お母さんやお父さんたちは、最後までご自身でなんとかしようとしている。それが現実と思います。

最低限の国の責務とは

2010年に高校の授業料を無償化しました。私は無償化にして良かったと思います。2019年には幼児教育が無償化され3歳以上の保育所や幼稚園に通う子供たちの保護者の負担は無くなりました。小中学校の義務教育は所得にかかわらず無償です。幼児教育も義務教育と同じように所得にかかわらず無償化することが、子供たちを分け隔てなく国が責任を持って教育することになります。所得に応じての無償化ですと、同じクラスに免除される生徒と授業料を支払う生徒が混在します。皆んなを平等に扱うことが、誰も負い目を感じないで自信を持って学校生活を送れると考えます。

以前、小学校の給食を取材し、子供たちと一緒に食べたことがあります。港区では、減農薬・減化学肥料のお米を使用していると聞きました。足立区では、限られた予算の中で創意工夫し、レシピまで公開しています。栃木県大田原市はいち早く無償化していて、生徒には、「学校給食は、みんなが納めた税金で支えられている」と説明していると、市長から伺いました。

仕事や家庭の事情で、どうしても給食が子供たちの1日のメインの食事になってしまいがちです。NPO法人の方に伺うと、これまでは、夏休みが終わると痩せてしまう学童が少なくはなかったが、コロナ禍による様々な理由で、休みでなくても体重が減ってしまう学童が多くなっていると伺いました。子供は家庭で育てることが望ましいと考えれば、具体的には、朝食や夕食を家族でとれるように、働き方を見直す必要があるでしょう。それまでは、休みの日も、朝夕も、食べたい子供たちには、所得による格差をつけることなく、お腹一杯食べられる環境を整えることが、最低限の国の責務と思います。

すべての子どもたちに、所得にかかわらず、教育、保育、医療を提供し、衣食住、なかでも食を保障する政策を強化します。未就学児までは特に手厚く支援することが必要です。最近では、山口慎太郎東大教授が6月2日付日経新聞で指摘しています。

そして、求職者支援制度(私が法制化に向けて取り組んだ制度)の給付金を拡充して、生活に心配なく保育士やサイバーセキュリティなど、専門資格が取得できる公的職業訓練を広げることも必要です。個々人の職業能力を伸ばすことで、経済を効率的に運営することを目指しながら、期間の定めのない雇用への転換を図るよう取り組みます。家族で食卓を囲むことができるように、政策を推進します。