【国会レポート】高校生からの問いに応えるには【2020年4号】

6月12日、2次補正予算が成立しました。高校生から、「新型コロナウイルス感染症対策のための赤字国債は、私たちの世代が支払うのですか?」と訊ねられました。

新型感染症対策のためには、新たな財政措置が必要で、赤字国債の総額は46兆円です。盛り込まれた施策には、私たちの提言も多く入っていますが、高校生の問い掛けに応えるためにも、説明責任を果たせる支出が条件となります。ですから、不明朗な会計に陥らないために、行政のチェックは、引き続き取り組んで行きます。

国民が示した自己制御の能力

政治の力よりも、日本国民が示した自己制御の能力によって、感染が食い止められていると考えます。新型コロナウイルス感染症の収束には、相当の期間を要すると当初より想定していました。1年から2年を掛けて、慎重に対応し続ける必要があります。緊急事態宣言が終了しても、すべてが解決したことにはなりません。医療が対応できる範囲内で、感染を抑え込み続けなければなりません。つまり、経済や生活の自由度は、医療資源のキャパシティで決まります。

私は、3月からこれまで、地元で事業を営む方々、医師、歯科医師など医療関係者、そして有権者の皆さまのご意見を聴き続けて来ました。500人を超える方から、郵便やメールでご意見を頂戴しました。

3月には、「卒業式用袴がすべてキャンセル」美容業、「マスク・手指消毒液の不足」菓子製造業、など、そして、4月になると、「子供がゲームに明け暮れていて困る、教育を受ける権利を保障して欲しい」保護者、「PCRの検査件数を増やすべき」医療関係者、「患者の来院が激減し休診した」歯科医師、「お客様の来店が無くなったのでテイクアウトのみ営業している」飲食店、5月になると、「6月以降は受注残がなくなってしまう」製造業、「家賃負担が重くなっている」飲食業、「未だに中国から設備機器が入らず完工できない、このままでは違約金を求められる」工務店、など切実なご意見が寄せられています。

お寄せ頂いたご意見は、国会での質問や政府への申し入れに盛り込むように努めてきました。特別定額給付金や家賃補助をはじめとして政策に結びついております。感染の流行が収束すれば需要が戻ってくることも確かですが、それまでの間に、打てる対策を早急に実施する必要があります。

国会での質疑で政府の対応を促す

また、5月27日、6月3日には、内閣委員会質疑で、担当大臣に、3月に成立した新型コロナウイルス対策特措法改正法につけた付帯決議の進捗について質すと共に、「持続化給付金の増額や要件緩和」、「医療用マスクやガウンの不足」など、皆さまからお寄せ頂いた要望を踏まえ、早急な対応を促しております。

新型感染症の影響は長期化すると懸念していますが、今後も、打てる政策を迅速かつ効果的に実施するよう提案して行きます。

新型コロナウイルス感染症について、私の事務所では、地元に暮らす皆さまの「生活の安定」と「事業の継続」を念頭において対応しています。

〇地元の事業者の方に、新型コロナウイルス感染症に関する国の支援制度を、その都度、連絡しています。そのことがきっかけで、国民政策金融公庫の融資が受けられ、また、持続化給付金も受け取れたと、後日、伺いました。

〇7月になっても医療用マスクやガウンが入手できないとの連絡がありましたので、扱っている事業者の方を紹介させて頂きました。

〇2次補正予算での医療関係者向けの支援制度について説明してほしいと依頼されましたので、最新の情報をお届け致しました。現在のところ、予算は可決されましたが、詳細や具体的運用については確定しておりません。

〇家賃補助についての問い合わせが、多く寄せられています。その都度、条件や手続きなど最新の情報をお知らせしています。

〇知り合いの飲食店経営者の方より「持続化給付金についてどこに連絡して良いか分からない」との連絡があり、集まって頂いた方々に申請方法を説明しました。その後、状況確認を行なったところ、「手続きのきっかけを得ることができた」とのことでした。

〇自動車教習所を経営する私の知人から「道路交通法で求められる講習や免許の更新が運転免許センターで行われるが、教室が満杯で新型コロナウイルス感染症のことを考えると感染しないかヒヤヒヤする。」と電話を頂きました。
鴻巣市にある運転免許センターには、毎日2000人を超える方が埼玉県全域から来訪されます。今後、感染リスクの恐れが高くなることを考え、国家公安委員長に政治的な判断が必要ではないかと伝えました。その後、警察庁から連絡があり、4月16日から、運転免許センター及び各警察署での運転免許更新業務等が一時休止となりました。6月1日からは再開となっています。

〇私のレポートを読んで、地元でスノーボード用のフェースガードやウエアを企画・販売している若い経営者の方から連絡がありました。お洒落な布マスクをデザインし、取引先の中国の縫製工場に委託して、輸入・販売すると伺いました。私も素敵な布マスクを発注しました。

〇東京でタクシードライバーをしている40代の方から「これまでは1日5万円の売り上げが見込めたが、今は1万円にまで減少し、月収は10万円に落ち込んでしまった。個人向け緊急小口資金の申し込みをしたが、色々聞かれた上に断られた。」と訴えられました。これまでも20万円までの緊急貸付制度があり、新型コロナウイルス感染症の影響を受けた方には、柔軟に対応するように厚労省から都道府県に通知がでています。その旨を関係各位に連絡させていただきました。

〇食堂を営んでいるご高齢の女性の方から、「4、5月ともに収入はゼロとなった」と連絡を受け、訪問し、持続化給付金について手続きを説明しました。ネットを見る機会がなく、同制度について知らなかったとのことでした。

〇農業者の方に、国民政策金融公庫の新型感染症対策としての「経営体育成強化資金」についてお知らせしました。その後、融資を申し込むことができたと連絡がありました。

〇春の叙勲に際して、叙勲を受けられた方から、「皇居での拝謁が中止になって残念」と伺いました。短い時間でしたが、国会で取り上げさせて頂き、宮中の見学と写真撮影が行なわれることになりました。

〇4月に、上尾駅西口でレポートを配布していると、さいたま市でクリニックに勤務する看護師さんから声を掛けられました。「発熱されて肺炎の疑いのある患者さんが来院され、医師が保健所にPCR検査をお願いするが、検査してもらえず自宅待機となりました。自宅にも発熱されている方がいらっしゃるそうです。」とのこと。さいたま市と県に連絡しました。地元では、医師会をはじめ皆さまのご協力で5月12日からPCR検査センターが開設されました。
また、人口10万人当たりの医師数は、全国平均が259人、一番多い徳島県は347人、東京都は329人で、埼玉県は176人と47都道府県で一番少ないのです。今後の高齢化に対する課題と捉えておりましたが、今回の様に急激に患者数が増えると医療に従事されている方が対応しきれない恐れがあります。緊急事態においては、全国的な医療資源の最適化を国が行うことを提起しています。