【国会レポート】予算委員会で、台風19号での地元被害対策について、国土交通大臣に質疑しました。【2020年1号】

大島「荒川水系河川整備について質問いたします。

2019年10月12日午前7時には、地元首長の皆様、知り合いの県会議員に電話をさせていただき、台風19号上陸に備えて、お互いに連絡をとりながら対応することを確認しました。私は19年を超えて議員として活動しておりますが、荒川の破堤を意識したのは今回が初めてです。

台風19号の上陸前、上陸後、通過後に地元を見回り、またお伺いした地元の皆様の御意見を踏まえ、質問いたします。

まず、さいたま市から上尾市平方の開平橋付近までの築堤の終了が近いと承知しています。今後、整備が本格化する荒川第二、第三調節池の完成時期などについて説明ください。」

五道水管理・国土保全局長「お答え申し上げます。

平成30年度に事業化された荒川第二、第三調節池事業では、埼玉県さいたま市、川越市、上尾市に位置する荒川の広い河川敷を活用して、約5100万立方メートルの貯水容量確保等を行うものでございまして、令和12年度の完成を目指して進めているところでございます。

これらの調節池の整備により、荒川第一調節池より下流の荒川本川におきまして、最大約80センチの水位低下が見込まれているところでございます。」

大島「堤内に調節池のための堤防が築堤されるので、調節池が完成すると荒川の川幅は狭くなってしまいます。調節池完成により、下流への水量は調整されますが、調節池の上に位置する開平橋から上流の水位は更に上がることになります。

台風19号で被害があったのは、大宮台地の荒川側斜面にある住宅、工場などの施設で、被害を受けた方々は、ここで長く生活してきたが、こんなに水位が上がったことはなかったとおっしゃっています。これまでの経験を超えた水位であったのです。また、被害はほとんどなかったのですが、鴻巣市では、大宮台地が終わり、堤防で治水しております。1947年9月15日のカスリーン台風では、鴻巣市で左岸約65メートル、熊谷久下で左岸約100メートルにわたり相次ぎ破堤し、利根川の氾濫と合流した濁流は、沿川市町村をのみ込みながら、9月20日には東京湾に達しました。

今後、調節池完成により水位が上がると破堤のおそれも増すと考えます。調節池上流の対策が急務であると考えますが、国土交通省の説明を求めます。」

赤羽国土交通大臣「大島委員の御発言にもありましたように、昨年の台風19号、これは令和元年東日本台風と命名されたわけでありますが、この降水量というのは、私も25年以上議員をやらせていただいておりますが、多分初めての経験で、全国の国直轄の7河川で12カ所で、県と国合わせますと140カ所、一気に一つの災害で堤防が切れたという、これは大変大きな、未曽有の災害だったというふうに本当に思っています。

私も、切れたところのほぼ全て、大きなところは全て現場に行きましたが、まさに気候変動に伴う災害の激甚化、頻発化、そしてそれに伴っての被害の深刻化というものを痛感したところでございます。

そうした意味で、抜本的な治水対策を行うということで、今言われておりますように、調整池の事業というのは大変大事でございまして、この荒川もまさに首都圏の大動脈でございますので、荒川から洪水を起こすわけにいかないということで第二、第三調整池事業を行うわけでございますが、現在1キロ以上ある現在の広い川幅を新たな堤防でおおむね半分に仕切るわけで、ふだんから川の水が流れる部分と洪水時に水を効率的にためる調整池に分けるということにしております。

ですから、今、大島先生御指摘のように、川の水が流れる幅が今より狭くなるので、その影響で調整池の上流部では水位が上昇されるということが、懸念というか、予想されるわけでございます。

そうしたことから、新たな別の災害を起こさないように、河川整備計画におきましては、調整池上流側で河道掘削をしっかりと計画的に行うというふうにしております。水位上昇が懸念される区間について、また沿岸の皆さんは大変御心配もなされるというふうに思っていますので、そうした不安が払拭できるように、調整池整備に伴う影響が生じないように、適切にしっかりと河道掘削を実行してまいりたい、こう思っております。」

大島「台風19号被害の特徴として、大宮台地の荒川側斜面に位置する多くの住宅が、床上、床下の浸水被害をこうむりました。上尾市平方地区での被害が甚大で、老健施設では1階が水没してしまいました。お話を伺うと、これまで80年以上ここで生活してきたが、こんなに水位が上がったことは経験していないと伺いました。これまでの経験を超えた水位であったのです。

台風19号で、荒川から溢水などにより浸水被害があった上尾市、桶川市、北本市における堤防整備を早急に進めるべきと考えますが、政府の方針を説明ください。」

赤羽国土交通大臣「おっしゃられたように、上尾市の平方、畔吉、領家地区、また桶川市の川田谷地区におきまして、荒川の堤防が未整備の区間から溢水して、床上、床下合わせて約80戸の家屋浸水が発生をさせてしまいました。これらの地域におきまして堤防の整備を計画的に進めていくということは、御指摘のように大変重要でございまして、今、最下流に位置する上尾市の平方地区では、昨年度、平成30年度より既に測量、地質調査等に着手をして、現在、堤防の設計等を進めているところでございます。また、これらの地区の上流にあります熊谷市の荒川大橋まで、これは先生の御地元の鴻巣市も入っておる地域でございますが、ここにつきましても、上流、下流の上下流のバランスをしっかりと考慮しながら、計画的に堤防の整備を進めてまいりたい、こう考えております。」

大島「地元でも、荒川台地があって、ここは台地ですから堤防はございません。ただ、台地が徐々に低くなってきて、鴻巣市からは堤防で治水していますから、水位が上がったときの対応としては、築堤、新たに築堤する領域、区域と、これまでの堤防を更に広くするということも必要になってくるものですから、この2点について、この調整池の整備と同時に、こちらの上流の方もぜひ気配りしていただければと思います。

もう一つが、桶川市と上尾市の市境を流れる江川から荒川への樋管付近が、台風のたびごとに水位が上がり、浸水被害が起きています。

今回、台風19号の被害を踏まえると、私の地元でも、ポンプ車の派遣要請が必要な樋.管箇所がほかにも出てきましたので、国土交通大臣におかれましては、ポンプ車の数を増やしていただくようにお願いいたします。」