【国会レポート】激動の時代に対応できるように日本の政治のあり方を変える!【2017年9号】
2014年12月の総選挙が終わったとき、私はウチのスタッフに「次の選挙こそものすごく大切な選挙だ」と言いました。今、世界は2つの意味で激動期に入っています。
1つは圧倒的な米国の覇権が終わりつつあるということです。これまで日本も圧倒的に強い米国の下でずっと平和に過ごしてきました。けれども今は徐々に米国の力が弱くなるとともに中国が台頭し、北朝鮮が核実験と弾道ミサイル発射を繰り返し、中東ではシリアやイラクで内戦が起きています。
さらに戦後創設されたGATT(関税及び貿易に関する一般協定)、WTO(世界貿易機関)、IMF(国際通貨基金)、世界銀行といった国際協調体制の枠組みも揺らぐようになりました。
その結果、トランプ大統領の出現、イギリスのEU離脱、ヨーロッパ各国における右翼勢力の台頭、東アジアでは左翼的な文在寅政権の登場など、世界の政治秩序にも大きな変化が出てきました。
以上のことに日本の政治も深く自覚して対処しなければなりません。
たとえば量子コンピューターも、私が2016年1月にNTTの最先端技術研究所で見たときにはまだ完成していませんでしたが、2017年夏には同研究所の所長から「光ファイバーのなかで量子コンピューターのモデルができた」と言われました。
量子コンピューターはスーパーコンピューターをはるかに上回る演算速度を持っています。それが個人の机の上に乗る時代がすぐそこまで来ているのです。
しかし、アメリカでは民間企業が量子コンピューターの開発に年間1000億円を投じているのに対し、日本では100億円に過ぎません。つまり、アメリカでは先端技術に民間企業が巨額の投資を行う環境ができているのに、日本にはないのです。
日本でもそうした環境をつくるために政治の努力が不可欠です。
政治に対する国民の信頼を取り戻す
以上のように世界が激動期に入ったなかで、まず政治に必要なのは、政治に対する国民の信頼だと思います。信頼こそ、変化の時代の政治に求められます。政治家はそれを確保するために努力しなければなりません。私は、地道にビラを配り地元の行事に出たりするなど地味ながらも地域に密着した政治活動を行うことによって、政治を、派手に物事を動かす領域から生活に基盤に置いたものへと戻していきたいと思います。
もし政治に対する信頼がないと国に危機が起きたときに社会の底が抜けて秩序が乱れてしまうでしょう。ただし政治に対する信頼を取り戻すのは、派手なことではなくて地味なことの積み重ねでしか実現できません。
私は、「地元には日本のすべてがある」という信念から、常に現場を歩き、皆さんの声に耳を傾けてきました。地味であっても、日々皆さんと対話をして、現場で何が求められているかを考えることが、信頼を取り戻すために必要です。
また、現政権は国主導での営みをしてきたために国民個々人の可能性や能力、潜在的な力を引っ張り出せなかったのではないでしょうか。日本は公務員の数が諸外国に比べて少なく、地域社会では民が公を支えています。
つまり、自治会長、民生委員、消防団、保護司、交通指導員、食生活改善推進員などさまざまな人たちが公に奉仕しているのです。今、公を支えていらっしゃる方々は、厚生年金や共済年金を受給されている方が多いのですが、これまで貯金をして結婚し、貯金をして家を買い、子育てが終わると貯金をして老後に備えることができた世代でもあります。
ところが、私たちよりも下の世代はあまり貯金が持てなくなってきています。そういう世代がこれから65歳を超えて地域に出てきたとしても地域社会を支えることはできないでしょう。
とすれば、今から税金を直接に皆さんに給付することによってお互いが支え合う制度をつくらないと地域社会が成り立たなくなります。すなわち、オール・フォー・オールという考え方で、皆の税は皆で使わなくてはなりません。
成長のために日本の基礎研究を広げていく
また、私が2020年代に向けて力を入れたいのは、これまで日本の国力のベースになってきた基礎研究に広がりを持たせることです。その広がりがなくなったとき、日本は発展しなくなります。
この基礎研究を担っていくのはやはり若手の優秀な研究者なのですが、残念ながらすでに現実には若手の優秀な研究者は国の研究所に入らなくなり、大学にも残らなくなっています。
というのも今の制度では、国の研究所や大学に5年間しか国が研究資金を出さなくなっているからです。つまり、5年間で研究成果を出せということですが、私が直接会った研究者たちは異口同音に「5年間で成果を出すのは難しいので、10年まで延ばしてほしい」と言っています。ですから研究資金が5年間ではなく10年間出るような制度に変えれば、日本もさまざまな先端的技術が生まれるはずです。
私も、そのような制度に変えて、まずは2020年代初頭をターゲットに経済成長の源泉たる基礎研究のベースを日本のなかでしっかりと培っていかなければならないと考えています。
激動期に入った世界に対応できる国内政治
私は今回の総選挙は今までの政治秩序が次の段階へと進む除幕と考えています。私としては、激動期に入った世界に対応できるように日本の政治のあり方そのものを変えていきたいと決意しています。