【国会レポート】圏央道と上尾道路で地元が関東の交通の要となる【2015年8号】

10月31日に圏央道の桶川加納IC(インターチェンジ)から白岡菖蒲ICまでの10.8キロが開通し、神奈川県藤沢市から地元を通って茨城県古河市までがつながりました。これで東名、中央、関越、東北の各高速道路が圏央道経由で一体化します。先日、千代田区霞ヶ関で首都高速に乗って、東北道の白岡菖蒲JCT(ジャンクション)で圏央道に入り、桶川加納ICまで車で帰ってみました。圏央道を降りるとそこは国道17号の坂田の交差点です。渋滞もなく東京から一直線につながっていることを実感しました。

当選後に着実に進んできた地元の道路整備

10月31日の開通式のテープカットに臨んだ私は、国土交通省の幹部職員から「開通に向けてこれまで力を尽くしていただいたことは、皆さん分かっています」と声をかけられました。振り返れば、衆議院議員に初当選して以来15年間、私はどの国会の質問でも圏央道と上尾道路の整備を急ぐべきだと力説し、政権与党の2011年には国土交通大臣を地元に招いて両道路の建設現場を視察していただきました。それだけに圏央道の着実な進展には感慨無量の思いがあります。

圏央道が今年3月に桶川北本ICから神奈川県の茅ヶ崎JCTまで開通したことも、私の地元にとっては画期的でした。陸地しかない埼玉県民には海に対する強い憧れがあります。開通後、私も日曜日の夕方に自分の軽自動車でこの区間を通って茅ヶ崎の海岸まで行ってみました。開通前なら都心を通るため、道路の混み具合によっては3時間以上かかっていました。ところが、開通後は1時間15分、江ノ島まで足を伸ばしても1時間半でした。これで私の地元からも気軽に海まで出かけられるようになったのです。

北本市にある北里大学メディカルセンターは、今年のノーベル医学・生理学賞を受賞した大村智博士が設立しました。しかし、北里大学の主たる病院は神奈川県相模原市にあるので、圏央道が茅ヶ崎JCTまで開通したことで北里大学メディカルセンターとのアクセスが格段に良くなり、医師や患者の行き来もスムーズになった、と伺っています。

成田空港にも車に乗れば1時間で行ける

さらに早ければ圏央道は2017年度までには、桶川加納ICと成田空港とが圏央道1本で直接結ばれて、私の地元から成田空港まで1時間で行けるようになります。今まで車でも電車でも2時間はかかっていました。所要時間が半減するので住民の意識も大きく変わるでしょう。

地元でもすでにグローバルに活躍する人が多くなっています。私の知り合いの経営者の何人かは、東アジアや東南アジアでの商談のために頻繁に成田空港から中国、マレーシア、シンガポール、タイなどへと出かけています。渋滞に巻き込まれることなく成田まで1時間なら仕事の効率が飛躍的に高まります。この点で私の地元はグローバルなビジネス展開のために有利な立場を得るといえるでしょう。

ロボット特区などの先端研究拠点も展開

また、「つくば」までつながると横浜からも筑波研究学園都市に行くのが楽になります。つまり、圏央道は先端技術と関わりが深いわけですが、これを見据えていた私は総務副大臣のとき、黒岩祐治神奈川県知事からの「神奈川県をロボット特区に指定してほしい」という要望を受け、知事の強い熱意で実現したのでした。この特区(「さがみロボット産業特区」)によって神奈川県は、生活支援ロボットの実用化と普及を促進し生活支援ロボットの実証環境を充実させるため、圏央道沿線に関連企業の集積に乗り出したのです。

先日、その黒岩知事と会う機会がありました。黒岩知事によれば「ロボット特区では、介護ロボット、医療ロボット、災害救助ロボットなどの『生活支援ロボット』に焦点を当て、ロボットの研究開発では製品化に力を入れています」とのこと。神奈川県のこの取り組みも筑波と結ばれる圏央道によってさらに実のあるものになっていくでしょう。

ロボット産業関連の他、圏央道周辺では各種の先端産業の拠点も次々に立地するでしょうし、併せて物流倉庫も着実に増えています。

首都直下型地震の第1次受け入れ地域に

一方、順調に行けば上尾道路も来年3月には大宮から桶川までが開通するでしょう。上尾道路の全線が開通すれば南北がつながり、東西をつなぐ圏央道と合わせて私たちの地元は関東の交通の要となります。成田空港や茅ヶ崎に1時間で行けるというのも交通の要だからこそですが、このほか、首都直下型地震への備えの場所になるでしょう。

首都直下型地震については年々懸念が高まっていて地盤の悪い都心に住むのには大きなリスクがあります。その点、私たちの暮らす地域は大宮台地なので地盤が安定していますし、大雨になっても住宅への浸水もありません。ですから、交通の要であり都心にも近い私たちの地域に住んでもらえば、1週間に5日仕事をするとして、そのうち2日は自然環境もよく地盤の安定した場所での在宅で、残りの3日は都心でそれぞれ働くというやり方もあるでしょう。

最後に、富士山麓の山梨県でバブル時に6000万円もした敷地300坪の別荘を最近1000万円で購入した知人がいます。自宅は東京なのですが、道路網が整備されてきたので購入を決めたそうです。その方の話では、山梨にはバブル期に造成した別荘が未活用のまま眠っているそうです。道路のアクセスが向上すると、これまで見向きもされなかった資産の有効活用が図られます。

以上のように1時間で、湘南、成田空港、都心が結ばれます。電車でも東京駅まで1時間です。仕事ではもちろんのこと海外への出張・旅行、先端研究、地震やテロへの対応、海や避暑地でのレジャーなどでは最適の地域になります。

政治としても、農地転用を図る農業政策、テレワーク(在宅勤務)を推し進める労働政策、高速道路の料金を柔軟に設定する交通政策等々を通じて、地域を時代に適合させることで地域のポテンシャルを引き出し、日本の成功モデルをつくっていきたいと考えます。