【国会レポート】NHK「日曜討論」に出演し安保法制と農協改革について発言【2015年1号】

過日(2月15日)、NHKの「日曜討論」に出演しました。これはそのときの関心を集めているテーマを掲げて、政治家なら各党の代表、幹事長、政調会長あるいは個別の法案の責任者が出演し、各政党の立場と考え方を述べるとともに議論するという番組です。

今回のテーマは「安全保障法制」と「農協改革」の2つで、各党から私も含めて合計7人が出演しました。発言時間は1人1分以内と決まっているため、発言が50秒をすぎると目の前のランプが点いて、もうすぐ終了ということが知らされます。逆に言うと、私には1分以内で視聴者にわかりやすい発言をすることが求められたわけです。

「閣議決定」は取り消すべきだ

「安全保障法制」については、集団的自衛権容認の憲法解釈についての閣議決定を問題視しました。

「変化する国際情勢を踏まえながら歴代内閣が丁寧に積み上げてきたのが戦後の憲法9条の解釈だったと思います。これで国民の合意形成が行なわれてきました。昨年7月1日の閣議決定は国民にとって唐突なものでした」

しかし、閣議決定後も与党である自民党と公明党の両党では憲法9条の解釈にずれがあります。そこで次のように指摘しました。

「両党はいまだに閣議決定の内容について議論しており、まるで憲法9条に追加の項目ができたかのようです。そんな不安定な状況で日本の安全保障を語っていいのでしょうか。7ヵ月経っても与党内で解釈が違うのですから、去年の閣議決定も取り消すべきと考えます。今年は戦後70年です。私が2000年に衆議院に初当選したときには各党に前の戦争を体験している国会議員(たとえば中曽根康弘、宮沢喜一、野中広務、山中貞則の各氏)が多くいました。今は戦争を体験していない国会議員が大部分になっているからこそ過去の歴史を心に刻みながら安全保障法制の議論をしていくべきと考えます」

今年1月31日に亡くなったリヒャルト・フォン・ヴァイツゼッカーは、1985年5月8日に西ドイツ連邦議会で大統領として「過去に目を閉ざす者は、現在に対してもやはり盲目となる」という演説を行なったことで知られています。この演説は第二次世界大戦が終わってちょうど40年後で「荒れ野の40年」と題されています。その意味は「40年というのは1つの世代が終わって歴史が新しくなるから、前の歴史を忘れないように心に刻む必要がある」ということにほかなりません。今回、私はこのヴァイツゼッカーの演説についてその模様をインターネットで視聴し、改めて読み直しました。戦後70年の今年、安保法制の議論をするのなら、やはり私たちも戦前、戦中、戦後にわたって日本がどういう歩みをしてきたのかをしっかりと心に刻んで議論すべきであると思います。

安全保障法制には国民の支持が必要

政府はこれから安全保障法制を整備しようとしています。このことは我が国のあり方そのものを根底から変えます。私は、今回の憲法解釈の変更は許容の範囲を超えていると考えますが、政府与党は数の力の多数決で法案を通すことはできるでしょう。しかしその前に、丁寧で深い国会での議論と多くの国会議員による賛同の合意形成が欠かせません。また、そのことは国家防衛の最前線に立つ自衛隊員(およびその家族)に国民総意の支持があるとの確信を与えることにもつながると思うのです。

2007年、テロ特措法の失効による給油活動の終了で海上自衛隊の補給艦「ときわ」がインド洋から日本に帰ってきたとき、民主党はテロ特措法に反対の立場だったものの、私は晴海埠頭まで出迎えに行きました。自衛隊の皆さんが危険を冒して大変な仕事をして帰ってきたのだから、それに対し国会議員として党派関係なく出迎えて敬意を表するのは当然のことと考えたのでした。

農業でも現場主義の発言が説得力を持つ

もうひとつのテーマ「農協改革」で私はこう発言しました。

「農政の基本は農家の所得を増やすことと考えています。JA全中(全国農業協同組合中央会)の会計監査権限の分離は直接、農家の所得増につながるのでしょうか。これは改革のための改革でしかなく、JA全中を改革したからといって農業改革が進むわけではありません。個々の農協にはこれまで創意工夫をしてきたところも多いのです。(たとえば私の地元の直売所『桜国屋』では、農産物が売れると自動的にレジからその生産者の携帯に販売済みのメールが送られます)。とはいえ、農協と農業委員会については農家を支える立場からの抜本的な改革は必要と考えます」

また、政治においては現場主義が重要と考えており、農業についてもこれまで個々の農家に出向いて話を聞くことを実践してきました。そこで以下の要点でも討論を進めました。

「農家もさまざまで、稲作、ハウス園芸、酪農、果樹、花卉などの農家がありますが、日本の農政のいちばんの問題は稲作をどうするかです。稲作以外は後継者もいます。また、稲作でも作付面積が1ヘクタール、10ヘクタール、50ヘクタールの農家では考え方が違います。10ヘクタールを超える農家は経営として取り組んでいますが、一方、1ヘクタール以下の小さな農家は高齢者のご夫婦が多く、そういう方々がお互いに助け合って1つの集落をつくっています。ですから、それぞれに農政も進めていかなければならないと私は考えています」

これからも、地域を歩き現場の声を聴きながら地元や国政についての議論を深めたいと考えます。