【国会レポート】民主党の雇用対策は大島の公約実現の第一歩【2001年4号】

昨年6月の総選挙で当選した直後、大島を支援してくれた人たちに言われたのは「次の選挙に勝つことが大切だ」ということでした。しかし、痛感するのは、次の選挙のことよりも、大島に投票して下さった8万0342人の皆さんをはじめ埼玉六区在住の皆さんのために選挙での公約の実現に全力を尽くさなければならないということです。

選挙期間中、「勇気ある自立と調和の社会へ」というキャッチフレーズの下で5つの公約を掲げ、それを載せた名刺サイズのパンフレットも3万枚配りました。5つの公約の中で大島が第一に訴えてきたのは雇用対策です。したがって、今回は大島の雇用問題への取り組みについてご紹介したいと思います。

現在、衆議院には各省庁に応じて総務委員会、文教科学委員会、財政金融委員会、厚生労働委員会などの常任委員会がありますが、民主党にもほぼそれに対応する形総務部会、財務金融部会、厚生労働部会、文教科学部会など14の部会が設けられています。衆議院の常任委員会は、付託された法律案などを審査し、また衆議院議長の承認を得て所管事項について国政調査を行うところです。一方、民主党の部会はそこが担当する分野の政策を決定するところです。

政権与党にも同様の部会があって、そこで決めた政策はダイレクトに国政に反映されていくのですが、残念ながら野党である民主党だと部会で決めた政策は国政に反映されにくい。だから、民主党の政策を実現するためには政権を取るのが一番ですが、野党であっても政権を取ったときに備えて実効性と実現性のある確実な政策を用意しておくことは非常に重要なのです。

雇用保険制度とは別体系の構築を

大島は選挙中から雇用対策を最も強く訴えてきたので、衆議院ではメインに厚生労働委員会で活動し、民主党内では厚生労働部会に所属してこの問題に鋭意取り組んできました。そして、厚生労働委員会で決まった雇用対策が4月4日に発表された民主党の経済対策の中に盛り込まれたのでした。

この雇用対策のポイントは「雇用保険法とは別体系で3年間の時限立法をつくり、職業訓練を受ける人については国が最低限の生活保障をし、職業訓練手当についても国が負担する」ということで、この対象には廃業あるいは倒産した自営業種の人も含まれます。

こうした雇用対策を決定するための実際の議論は、厚生労働部会の下に置かれた雇用対策ワーキングチームで行われました。雇用対策ワーキングチームの事務局長は他ならぬ大島で、内部の議論のとりまとめに奔走したのでした。

とはいえ、ワーキングチームのメンバーだけの議論で済ませたわけではありません。雇用問題を専門とする大学教授、あるいは経済界や労働界の関係者を招いて勉強会を実施してきましたし、実態を踏まえた政策を作るべく人材銀行や職業訓練施設に何度も実際に足を運んで求人の現状やどんな職業能力開発が行われているかを調べることにも大いに力を注ぎました。

付言すれば、大島はこれまで現場主義を貫いてきたので、ワーキングチームが現場を重視したのは事務局長である大島の方針でした。

雇用についてはソフトランディング

日本の失業率は目下5%弱ですが、これは1970年代前半のオイルショック時の2%~2.5%、85年の円高不況時の3%弱と比べて異常に高い値だと言わざるを得ません。その上、今後はダメな企業にカンフル剤を打って生き延びさせることもできなくなりますから、経済のハードランディングは避けられないでしょう。そうすると一時的には失業率はもっと上がりますが、雇用について。はソフトランディングさせなければなりません。

そんな問題意識を持ちながら雇用対策ワーキングチームでの取り組みを通して分かったのは、雇用保険制度とは別体系の雇用対策を実施する必要があるということでした。雇用保険制度だと、保険料を払ったした人にしか還付がありません。払っていない人は枠外になってしまうし、雇用保険が切れた人も基本的には失業手当はもらえないのです。また民主党としては2月に雇用対策の素案を作っていたのですが、大島はそれを読んだときに自営業種への目配りが不足している点で甘さが残っているなと感じていました。

そこで、大島は、雇用保険とは別体系の雇用対策や、自営業種もその対象にすべきだと主張した提言書を自ら書いて、それを厚生労働部会のメンバーを中心に読んでもらって党内での合意形成に務めたのでした。

競争社会から協力社会への転換を

90年代にもてはやされた「マーケットをフリーにすれば皆が切磋琢磨して豊かになる」という競争主義の考え方は今やもろくも崩れ去っています。本来、労働とは他人のために何かをすることです。好景気とは、互いに与え合うサービスの量が大きくなることです。経済が活性化するためには、社会を構成する人間の能力を高め、意欲をもって働かなければなりません。言葉を換えれば、お互いに助け合う「協力社会」に復帰させるために、思い切った人材投資が急務だということです。この観点から雇用対策は行われるべきで、それがまさに今回民主党が打ち出した雇用対策なのです。

民主党の雇用対策に大島の持論が反映されたのは公約実現の第一歩だと思っていますが、今後さらに国政に反映できるように努力していきます。

なお、4月4日の民主党の経済対策での雇用対策と同じことを政権与党も言い始めていて、それは大島の政策が評価されたことにほかならないと思っているのですけれど。