【国会レポート】政策秘書を活用できる政治家になるのが先決だ【2002年4号】

辻元清美前代議士の事件で政策秘書の問題が大きくクローズアップされてきたのは周知の通りです。政策秘書に関しては国は政策づくりという観点で設置したのですから、少なくとも政策が語れる、法律が分かる、専門知識を持っている人を雇うべきでしょう。また、他の議員の秘書と兼任というのは論外だと思います。

政策秘書は特別職国家公務員

大島は当選してから今年1月まで政策秘書は採用しておりませんでした。今回始めて採用した政策秘書はイギリスの大学院で国際政治を専攻した後、帰国し、政策秘書の資格試験を受けて資格を取得しました。

1994年1月から導入された政策秘書は他の公設第一、第二秘書と同じ特別職国家公務員という位置づけです。給与水準は第一、第二秘書より高く、月額45万円から68万円が支払われます。誤解されている方もいるかもしれませんので、あえて強調しておくと、公設の秘書の採用は、衆議院事務局への届出が必要で、つまり政策秘書の採用の届出をしていなければ、その分の給料が支払われることはありません。1年半の間、政策秘書を雇わなかった大島は、その分の税金(約1300万円)を使わなかったということにもなります。制度を遵守していれば政治家本人に秘書給与が渡ることはありえません。

1年半政策秘書を置かなかった理由

大島はなぜ当選してから1年半もの間、政策秘書を置かなかったのか。大島自身が描く政策のイメージを、その専門知識と努力によってきちんとした具体的な政策に創り上げる実力がなくてはなりません。大島にとってベストの秘書を探していたのですが、すぐには見つからなかったということです。

また、国会での質問、政策立案は、国会議員の本質的な任務です。文献・資料集め、官僚からの事情聴取、関係者との意見交換など、すべてを人任せにせず自分自身でやることが、まず新人議員にとって必要と考えました。納得できる仕事のためには、細部を知ることが大切なのです。

政治家自身が政策に精通すべし

大島は当選後1年半の間に590分もの質問を行いました。この質問時間は民主党の同僚議員の約2倍です。

国会議員が国会で質問する意味は、第一に法律の解釈論を十分に詰めるということ、第二に政府あるいは行政の行為をチェックするということです。したがって、とりわけ野党議員にとっては必須のことだと言え、質問時間が多ければ多いほど議員として仕事をしているということにほかなりません。

質問をつくるには非常に手間がかかります。例えば、昨年、KSD事件(注)がありましたが、その質問のために、大島は、東京錦糸町にあるKSD会館に出向いたほか、諏訪や軽井沢など関連施設にも実際に行って調査しました。資料を読むだけでは不十分なので、現場に行って手がかりをつかむ努力をしたのです。そうすると本当に手間と時間がかかりますが、そのお陰で事件の核心をつかむことができ、ポイントを突いた質問につながったのでした。

質問の準備に時間と手間を掛けた分、地元での会合に出席したり、支援者に会うための時間は減りました。国会議員として徹底的に働いてくれという有権者の要望に応えたからですが、その結果、大島自身、政策とはどのように創っていけばいいかということをあらためて知ることができたのでした。

官僚に依存しすぎる与党政治家

官僚に依存しすぎても政治家は考えなくなります。今の与党のおかしいところもまさにそこで、与党であれば官僚が資料集めから政策づくりまですべて手取り足取りお膳立てしてくれるという実態が少なからず見受けられます。だから、与党の政治家は自分で何も考えなくなる人が多いように思うのですが、政治家として物事を考えなくなるのは最も恐ろしいことです。やはり自分で調べて動いたほうが、物事を理解しやすくなり、考えるようになっていくのです。

大島が1年半の間、政策秘書を置かなかったことは結果的によかったと思います。大島は自分で現場に飛び、法案を読み込み、そして質問するということを何回もすることによって政治家としての自信を深めていったのでした。そして、今年に入って政策秘書に来てもらったのですが、政策秘書がいなかった1年半の経験と政策秘書の持つ専門知識も十分活用して、大島の考え方をしっかりと反映した、大島らしい政策づくりに取り組んでいこうと考えています。

お金が足りない秘書が足りないと不満ばかり言う議員もいますが、そんな暇があったら、議員自身がまず動いてみて、議員にとって本当に何が大切なのかをつかむことが大事だと思っています。

注)KSD事件とは

厚生労働省所管の公益法人であるケーエスデ一中小企業経営者福祉事業団(KSD)の前理事長が、全国の中小企業経営者から集めた巨額資金を私的に流用したとされ、2000年11月に逮捕された事件。さらに、同理事長から元参院議員2人に計3400万円余の賄賂が提供されたとして、2人の元参議院議員も昨年1月と3月に相次いで逮捕された。前理事長に対しては、今年3月26日に東京地裁で懲役3年執行猶予5年の判決が出ている。