【国会レポート】解散に浮き足立つのではなく本来の政治の仕事に専念せよ【2002年12号】

この12月で初当選してから2年6カ月が経ちました。衆議院議員の任期は4年ですから残りはあと1年半ですが、首相には衆議院の解散権があります。任期が減ってきて、小泉首相が最近、解散を臭わせたため、議員の間では今、「来年1月の通常国会での冒頭解散か」「6月または7月の通常国会期末での解散なのか」と解散の時期の話でもちきりです。関連して、次の首相候補に擬せられる石原慎太郎東京都知事や知事選不出馬を表明した北川正恭三重県知事の動向なども話題になっています。

重要な委員会審議を欠席した与党議員

つまり、ほとんどの衆議院議員は解散の話で浮き足立って腰が落ち着いていないのです。例えば、大島が所属する厚生労働委員会では北朝鮮に拉致された方とその家族を支援するための法案を11月27日に可決したのですが、何と、与党側の議員の大半が欠席したのです。国会よりも自分の活動が優先ということなのです。

拉致被害者の家族の方々も審議を見守ろうと詰めかけていたのですが、この委員会は、法案を提出した与党議員が不在のなか、野党側が質問するという異様なものとなってしまいました。法案を提出した与党の議員が欠席とは不真面目も甚だしいということで審議が一時中断したほどです。欠席した議員に強く問いたい。国民よりも自分の身が大切なのか、と。

いずれにせよ、大島は衆議院議員が解散の話ばかりしていることに非常に強い違和感を覚えます。2年6カ月前の総選挙で国民の皆さんは、日本をもっとまともな国にしてほしい、もっと景気をよくしてほしい、自分たちの生活を守ってほしいといった期待を込めて投票したはずです。本来、衆議院議員はそうした国民の期待に応えるべく議会活動に邁進しなければなりません。もちろん、大島は、政治が混迷の際には解散して民意を問うのがスジと考えます。しかし、だからといって自分の選挙のことばかりを考えているようでは全く本末転倒だと思います。

1日も早い補正予算成立を

当たり前のことですが、政治家は朝から夜までしっかりと政治の仕事に専念し、直面する様々な課題を迅速に処理すべきです。二年半前に投票して頂いた有権者の信頼を裏切らないよう、各衆議院議員は、現在の経済の難局に対して粉骨邁進しなければならないはずです。そういう思いで大島は国会審議も一生懸命に務めていますし、経済問題についても自分なりの政策を周りの議員に対して日々訴えています。

上がり続ける失業率、下がり続ける株価、それに伴って増える不良債権のことを考えれば、4野党が合意したように、先ずは1日も早く雇用失業対策中小企業対策のための補正予算を成立させることが不可欠なはずでした。しかし小泉政権は補正予算の審議を来年の通常国会に先送りしました。治療は早ければ早いほど効果的です。補正予算についても何れ組むのでしたら今国会で成立の方が効果も大きいはずです。それにも拘らず先送りしたということは、やはり小泉政権は現在の経済・金融問題の深刻さを認識できていないという意味に他なりません。

国や地域の政策トピック 独立行政法人

11月25日の厚生労働委員会で、私は国立病院を独立行政法人に移行する法案について質問致しました。独立行政法人とは、国が出資しながらも業務効率向上のために民間企業の経営手法を取り入れて事業を行う行政法人のことです。

この法案では、現在約4万4千人が働いている全国の国立病院、療養所144施設を独立行政法人に移行します。そして厚生労働大臣が独立行政法人の理事長を任命するとともに経営の中期目標を立てます。理事長は中期目標達成の為に中期計画を作成し実行します。そして、その業績評価を総務省と厚生労働省に置かれた外部の有識者(非常勤)から成る評価委員会(最高30名)が行います。

しかし問題なのは、まず、この評価委員会によるチェック機能です。今回の法案によって言わば4万4千人の従業員と144の支社、予算規模約1兆円の大企業が誕生するわけですが、その大企業を最大30人の非常勤の委員でどこまでチェックできるでしょうか。企業経営に実績のある方ばかりならともかく、現在の評価委員の大半は経営の現場にいない大学の先生方であり、委員の構成についても明らかに不十分です。

また、現在の国立病院、療養所は約1200億円を本年度の国の予算から受け入れています。独立行政法人化後は、これを運営費交付金として引き続き国から受けることになりますが、その金額や使途について厳密な規定が現在のところありません。この運営費交付金は、民間の病院では採算がとれない難病や感染症の研究、治療等の目的に限定して使われるべきで、交付金がそのまま借金の返済に使われ経営が甘くならないように厳密な規定を設ける必要があります。

この法案は前国会から審議が継続しているものなので単独で審議されましたが、実は他にも46の独立行政法人化法案がありました。それぞれ国立病院と共通の問題や個々の問題が多くあったはずですが、与党の意向で全て一括して提案審議されました。その結果、衆議院では約33時間しか審議されせんでした。法案1本あたりわずか40分程の審議時間だったのです。

独立行政法人の経営が甘くなれば、国の支出つまり我々国民の負担が結果として増えることになります。ですから、与党の国会議員からも厳しい質問が多くあっていいはずですが、最初に述べたように与党提出の法案の審議すらさぼるようですから、それを期待するのも無理なのかもしれません。やはり政権交代しか、状況を変える手段はありません。