【国会レポート】政治の言葉の重みを取り戻す【2003年1号】

政治の信用収縮が進行しています。大島が衆議院議員になってから2年半になりますが、今ほど政治家の言葉が軽くなった時代はないように思います。今、皆さんに「政治家の言葉を信じますか」と尋ねて「はい」と答える方はどれ位いるでしょうか。首相が「構造改革なくして景気「回復なし」と唱えてから1年半以上になりますが、日本経済は良くなるどころかむしろ悪化しているわけですから、政治に対する信用がなくなってしまうのも無理もないことだと考えます。

大島としては、政治の信用収縮が信用創造へと転ずるよう、有権者に約束したことは確実に守るべく努力していきたい、そのことを年頭に当たっての決意としたいと思います。

営業の力に目を向けるべき

さて、地元をまわっていると、やはり話題の中心は景気の問題です。もちろん景気回復は政治の中心課題ですが、大島としては、景気を刺激するために特に営業の面に力を入れて下さるように、地元の商工会議所の集い等の様々な場で事業者の方にお訴えをしています。というのも、大島の営業の経験から、営業の仕事には経済に活力を与える機能があると考えるからです。

今は不況で確かに消費者の財布のヒモは固いでしょうが、そこを営業の力でほぐしていかなければなりません。つまり、消費者には常に何らかのニーズがあるのですから、「あなたのために何かできませんか」という営業の力でそのニーズを掘り起こすことが必要だと思うのです。

制度の隙間にビジネスチャンスがある

景気回復の点で営業のほかに大島がもう一つ考えているのは、新しいビジネスチャンスをぜひつかんで頂きたいということです。大島が2年半の国会審議で痛感したのは、わが国には制度矛盾が多いということです。それは逆に考えると、その分だけビジネスチャンスが多いということに他なりません。制度矛盾の隙間にこそ大きなビジネスチャンスが眠っているのです。

例えば、労働市場については、制度矛盾を突いてアウトプレース会社が出てきました。これはリストラによる解雇の対象となる社員の再教育を含めた再就職斡旋を請け負う会社です。労働法規の対象から全く外れた領域です。規制緩和どころか最初から規制のない領域が意外と多いということなのです。そうした部分にビジネスチャンスがあるのですから、ぜひ新しい事業を起こしてチャレンジして頂きたいのです。

要するに大事なのは起業家精神だと思います。

昨年末に大島はAさんというほぼ同年齢の大手ゲームソフト会社の社長にお会いしました。Aさんは学生時代から起業家志向があり、まずは当時勢いがあったアパレル業でも始めようと考えていました。80年代のことです。しかし、ある日訪問したアパレル会社の2階にあったアスキーという会社をたまたま訪問して経営者の話を聞いたところ、アパレル業は一定のシェアの中で競争しているに過ぎないが、コンピュータービジネスは業界の規模自体が倍々ゲームで拡大しているということを知ったのでした。そこで、Aさんは、ファミコンを発売したばかりの任天堂に行って、「ぜひゲームソフトを作らせてほしい」と頼み込み、その結果、仕事を請け負うことができたのです。それをきっかけにして、Aさんの会社は今日、誰でも知っている大手のゲームソフト会社にまで成長したのでした。

投資家を説得する営みが大切だ

Aさんがこの事業を始めるときに銀行はまったくお金を貸してくれませんでした。そのため、両親や知人をまわって説得し、何とか1億円を超える開業資金を集めたということです。Aさんは「銀行がお金を貸してくれなかったからこそ、結果的に会社の財務体質は強くなった」と言っています。事業家であれば、投資家に対して自分のビジョンを納得させてお金を出してもらうという積極的な営みが必要だということです。

日本のベンチャーについても国はいろいろな助成金を設けて助けようとしていますが、ベンチャーを起こしたいなら、その人はまず自分のビジョンを基に投資家を説得するという取り組みに全力を挙げなくてはならないと思います。

羊から逞しいライオンになれる制度を

とはいえ、そうした起業家精神を持った人が日本に少ないのも確かです。優秀な人を企業が抱え込んで、その人の能力を小さく押さえ込んでいるというのが日本の現状です。そういう人たちに経営能力を身につけてもらい、新しいビジネスを起こせるようになってもらうことが今の日本経済には必要なのではないでしょうか。

けれども、大島は自分の転職の経験から、企業を辞めたサラリーマンはジャングルに放り込まれた羊同然だと認識しています。やはり自営業者の苦労を知らない羊のままでは、たちまちジャングルで餌食になってしまいます。

だとすれば、羊から逞しいライオンに変われるように、経営力をつけるための助走期間を設けることが必要になります。大島はその助走期間を国が用意すべきだと考え、目下、その政策構想を検討中です。経営力のある人材が日本に5千人、1万人という単位で誕生すれば、それは日本の産業再生の大きな1歩となるはずです。

政府はこのほど産業再生機構というものを立ち上げました。潰れそうな企業の中から選んだ特定の企業を公的資金の投入等によって再生させようというものです。しかし、公的資金を入れても潰れてしまう企業が恐らく多いでしょう。なぜなら、その企業を再建したいという強い情熱と経営力を持った人が関わらないからです。政治家や官僚だけでは何もできません。

そこで、大島は、産業再生機構においても、ある程度の自己資金を投入することを条件に、経営に情熱のある30代40代50代の人に企業の再建を任せるようにすればいいのではないかと提案します。経営への情熱を持った人が関われば企業再建は果たせるかもしれませんし、そうならなくても、少なくとも企業再建の過程で経営力のある人材が育っていくと思うのです。