【国会レポート】月1回のタウンミーティングで皆さんの率直なご意見を伺う【2003年7号】

「現場主義」を常に心掛けている私は、有権者の皆さんから直接ご意見を伺う場として、ほぼ月1回の頻度でタウンミーティングを行っています。ですから年間に選挙区内の4市2町でそれぞれ2回程度開催していますが、いずれも私の支援者を動員するのではなく、タウンミーティングの案内を皆さんの家に配布したり駅頭でお配りして、関心のある方が自由に参加できる形をとっています。老若男女の構成はその時によって違いますが、人数的には少ない時で10人程、多いと40人を超えることもあります。

タウンミーティングの形式は、まず私が15分から30分程話した後に司会も兼ねた発言者となり、残りの1~2時間、参加者とざっくばらんな意見交換をします。こうした対話の中で、参加者から様々なご意見、ご質問、ご指摘を頂くだけでなく、自分があまり気が付かなかった論点に目を開かされるということも多々あり、私にとっても非常に重要な場になっています。

年金受給の問題点を知る

最近ですと年金の問題についてご指摘がありました。6月から年金受給額は0.9%減ったのですが、参加者の中に「私は1.4%も減らされました」という方がいらして、制度運用の実態の問題点が浮かび上がってきたのでした。そこで今、私は厚生労働省にこの問題を問い合わせるなどして調査しているところです。制度運用に問題があれば改善させなければなりません。

また、参加者から「地上波デジタル放送について知っている人が少ない」というご指摘も受けました。BSデジタル放送が始まったのは2000年12月からですが、地上波デジタル放送は今年12月からスタートする予定になっています。地上波デジタル放送について、私は2001年3月の予算委員会第二分科会で所轄官庁である総務省の片山大臣に質問したことがあります。参加者のご指摘は、片山大臣に質問した時に感じた不安を再び私に呼び起こしてくれました。

地上波デジタル放送への不安

問題点の一つは、地上波デジタル放送を始める一方で2011年には現行のテレビ放送を停止してしまうということです。ちなみにBSデジタル放送の受像機(チューナーを含む)の出荷状況をみると、2000年12月の放送開始から2年半経っても約208万台(2003年5月現在)しか売れていません(月販7万台弱)。

地上波デジタル放送の受像機も同程度普及していると考えられますから、2011年のデジタル受像機の普及状況も恐らく700~800万台程度で、現在1億台以上あるテレビの1割にも満たないのです。そんな状態で2011年にアナログテレビ放送を停止すれば、国民の9割以上はテレビ放送を見られなくなり大混乱になります。

無駄な投資に終る恐れがある

加えて、地上波デジタル放送にはもっと根本的な問題点があります。つまり、光ファイバーでインターネットが各家庭と結ばれたら地上波デジタル放送そのものが必要なくなる恐れがあるということです。地上波デジタル放送では多チャンネルや双方向の情報交換などが謳われていますが、こうした点で、光ファイバーでつながったインターネットの機能の高さは地上波デジタル放送の比ではありません。インターネットを通じた放送プログラムも無数に出てくるでしょうし、例えば、家に居ながら、インターネットで映画を高速ダウンロードして好きな時間に見ることも可能になります。

2011年に現行のテレビ放送が停止され地上波デジタル放送に完全に切り替わると、視聴者は地上波デジタル放送対応のテレビに買い替えるよりも、インターネットテレビやCATVなどを中心に見るようになる可能性が高いのではないでしょうか。これは視聴者が放送を受動的に見るというのではなく、自ら番組を選んで見るということでもあります。そうなると、NHKや民放テレビを観る人が急激に減ってしまい、テレビ局の経営も成り立たなくなる恐れがあります。だから今、地上波デジタル放送に投資するのが正しいのか、非常に疑問なのです。

この点については、既に2年前の予算委員会での質問の時点で問題意識を持っていました。そこで、片山大臣に対して「ITの技術進歩は速い。インターネットで誰でもテレビを見られるようになったら、地上波デジタル放送はどうなるのか」と質問したところ、「インターネットテレビなんてだいぶ先の話だ」といった悠長な回答でしたし、「日本人は新しもの好きだから、無駄な投資ではない」とまで言ったのです。この答弁を聞いて、政治の世界での世代交代を進めなければいけないし、若い世代でないとITなどの先端の分野に敏感に反応して正しい投資行動ができないのではないかと痛感したのです。

今、私はこの地上波デジタル放送問題にも積極的に取り組んで国民のマイナスにならないように努力しなければならないと思っています。

ぜひタウンミーティングへのご参加を

このようにタウンミーティングでの参加者のご指摘は私の関心を再び地上波デジタル放送の問題へと向けさせてくれたのですが、タウンミーティングでは、他にも、イラク外交の問題からIT問題、男女の役割分担の問題、年金の問題など参加者から本当に多岐にわたる発言が飛び出します。良い勉強をさせて頂いていると同時に、常に様々な方向にアンテナを張っておかなければならないと我が身を奮い立たせることができるのです。

皆さんからご質問を受けることによって政治家としての問題意識が広がりますし、勉強意欲が湧き、国会での質問にもつながります。質問するためには膨大な時間を割いて調査もしなければなりません。つまり、国会活動とはその繰り返しなのです。

言い換えれば、素朴な疑問からのご指摘は非常に大切で、何かおかしいなと思うことがあれば、タウンミーティングに参加して頂いて、私に直接、疑問や意見をぶつけてほしいと思います。ぜひともお気軽にご参加下さい。