【国会レポート】政権を担える真の大政党への脱皮に向けて【2004年10号】

民主党では衆議院議員と参議院議員が一緒に集う両院議員総会を党本部の大会議室で行っています。以前はけっこう空きのあった大会議室の席も、先日の両院議員総会に出たところ隙間のないほどびっしりと埋まるようになっていて、非常に驚いた次第です。

今や民主党の国会議員は衆参合わせて261人にもなっています。つまり、国会議員の数的には政権を十分担いうる巨大政党になったわけで、今後は、民主党も政権政党を担うにふさわしい中身にならなければならないと考えます。

政権政党にふさわしい政策を打ち出していく

私もそうですが、議員は自分が興味を持つ分野だけに目を向ける傾向があります。今は政権政党ではないので、民主党の政策に対して関係する団体から与党ほどには要望は出てきませんが、政権に就くとそうはいきません。逆に言うと、今後、政権を担う政党になるには、苦手な分野であっても政策づくりに加わり、あるいは、多様な議員の多角的な視点から意見を出していく必要があります。そういう営みが政権政党になったとき世間の批判に耐えられる政策を打ち出していくことにつながります。

民主党の新人事体制もスタート

さて、民主党は9月に党の代表として岡田克也氏を再び選出し、向こう2年間、岡田体制が続くことになりました。同時に党人事の見直しも行われ、私も、従来からの民主党中小企業局筆頭次長に加えて、NC「Next Cabinet=次の内閣」厚生労働副大臣、党役員室次長、党国際局欧州担当といった党の要職を新しく担うことになりました。

政党の執行部は主に代表のほか幹事長、政策調査会長(政調会長)、国会対策委員長(国対委員長)などで構成されています。代表は党の顔であり党運営の最高責任者です。幹事長は地方組織も含めた党組織全体を管掌し党財政も管理しています。党の政策を取りまとめるのが政調会長ですが、国対委員長については少し詳しい説明が必要かもしれません。

国対委員長の基本的な仕事は、国会運営について他党の国対委員長と協議することです。たとえば、与党提出の政策に野党が反対しているなら国会での論戦の前に政策のどの部分が争点になっているのかを確認し、あるいは、国会の委員会が与野党間でもめて開かれないで止まってしまったら何がその原因か、どうすれば打開できるかといったことを話し合います。

そのような他党(特に与党)の国対委員長との協議の際には、場合によっては、各委員会の審議で民主党の所属議員を司令塔として動かし(審議をそのまま進めるのか、協議がまとまるまでいったん審議を休むのかなど)党として対応して行くのも国対委員長の主要な仕事です。

また党内では、国会の各委員会に党所属議員の誰を配置するかという人事権も国対委員長が持っています。

民主党「次の内閣」厚生労働副大臣など党内の役職でも全力を尽くす

以下、私の党の役職について説明したいと思います。今回、「次の内閣」厚生労働副大臣と役員室次長になったことで党の中核の仕事を担う立場になりました。

<「次の内閣」厚生労働副大臣>

「次の内閣」厚生労働副大臣は2人置かれていてそれぞれ労働と厚生を担当しています。私は労働の担当で、労働政策全般について解決すべきテーマを設定し、法案審査や政策立案では党内の意見をまとめてゆきます。政府を率いていれば、どう対処するだろうかを常に念頭に置いて行動しています。

また、党内で厚生労働政策を決める衆参両議院による部門会議が行われるのですが、そこで「次の内閣」厚生労働副大臣である私が司会を務めていますし、会議が終わった後の報道記者に対する説明も私が対応しています。民主党という大政党の労働政策を所管しているわけで、非常に重い仕事だと受け止めています。

ただし、そこでは自分の意見を通していくということではなく、自分の意見もきちんと述べつつ、バランスの取れた結論が出るように取りまとめたいと考えています。たとえば、畑違いの経済産業や文部科学に詳しい議員の意見も聞きながら、有権者の皆様がより納得できる政策づくりを行っていきたいと思っています。

今後は、外国人労働者の我が国への受入若年失業者問題、さらにニート(NEET=Not in Employment,Education or Training)問題、つまり、就業、就学、職業訓練のいずれもしていない人をどうするかという問題にも取り組んでいきます。

<役員室次長>

党の役員室は代表や幹事長を支える部局で、ここの仕事は表に出ることはありませんが、党内外でどんな問題があるのかなどの動きをウォッチしながら情報を共有化するところです。会社に例えれば社長室や経営企画室にあたるところです。意見を出し合い、政権を担い得る安定感を持たせるにはどう党を運営していったらいいかなどを話し合っています。21人のメンバーがいて、私は幹事長のサポートと危機管理を担当しています。代表や幹事長への意見具申や、記者会見に同席しその司会も行ったりします。また、地震やテロが起きたときの対応を真っ先に考える危機管理チームのメンバーです。9.11の際には、2機目が世界貿易センタービルに突っ込む映像を自宅で見た瞬間、3機目、4機目があるに違いないと直感し、夜中急いで国会に駆けつけた経験を生かしたいと考えています。

<国際局欧州担当>

民主党には海外の政治家もよく訪ねてきますし、民主党の議員が海外に行くことも少なくありません。その場合、ヨーロッパについては私が責任者になっていて、ヨーロッパの政治家との窓口になっています。この仕事に就いたことで、国内関係や党内の仕事だけではなく、国際的な仕事も含む幅広いフィールドを手がけることになりました。

<中小企業局筆頭次長>

この役職には以前から就いていました。今年1月から6月までの通常国会では民主党の中小企業政策に詳しい国会議員をグループで地方に派遣してタウンミーティングなどを開きました。今後も、中小企業経営者に私たちに対して共感と安心感を持ってもらうべく、新たな「運動」を企画しています。

4年半前に、サラリーマンから、直接、政治にたずさわるようになった時の「なんでも新鮮に感じられる」その感覚を失わないように活動していきます。