【国会レポート】現場取材にもとづく国会質問で積雪での農業被害対策が進む【2014年1号】

2月14日金曜日に大雪が降って、地元でも私の記憶にないほどの積雪量となりました。その夜は雪で高崎線が不通になったため、私も国会から地元へ戻れずに都内での宿泊を余儀なくされたのです。翌朝、地元の知り合いの農家から「農業用ハウス(ビニールハウス等)が雪で損壊してしまった。多くの農家で被害が出ている」という電話を受けて、私も初めて地元の積雪被害の大きさを知ったのでした。もともと冬でも関東一円には雪があまり降らないだけに、この大雪は被害を一段と深刻なものにしたといえます。

雪害の前に呆然と立ち尽くす農家の皆さん

さっそく地元に帰って、花、トマト、キュウリ、イチゴ、梨、ブドウなどの施設園芸農家を1軒ずつ訪問しました。被害状況を取材するとともに農業用資材業者の方にも連絡をとってハウス損壊の被害額等も調査しました。

伺ったご意見をまとめると、○Aトマトやイチゴ農家は、11月から重油を焚き始めようやく収穫となったときに積雪被害で出荷ができなくなった。損壊したハウスの修復費用だけでなく苗の代金や燃料費も払えなくなった。○Bハウス建設費は素材や構造の違いにより1反(約300坪)あたり600万円~2100万円かかる。一方、その農作物から得られる利益は1反あたり平均150万円なので、ハウス損壊で農作物出荷が不可能となって再建のメドが立たない。○Cハウス損壊で廃業に追い込まれた農家もあるが、損壊したハウスの撤去費用が捻出できない。

以上から被害を受けた農家の皆さんもどう対処して良いかわからず、まさに呆然と立ち尽くしている状態でした。そこで私は、翌週2月21日の衆議院内閣委員会と2月26日の衆議院予算委員会で相次いで質問に立って、官房長官や農林水産大臣に対し、被害の状況やそれに対しての具体的な対応策を訴えたのでした。このとき、「サラリーマンをやめて家に戻ってやる気を持って取り組む40代の方が多くいらっしゃることを理解してほしい」、「農業災害に農水省、環境省、金融庁など政府全体として取り組むとともに一陣、二陣、三陣とタイムリーな対策を検討していただきたい」と求めて、官房長官は「今後も農業をしっかり続けられるように、政府として万全の対応策をそれぞれの省庁に指示したい」と答弁をしました。

短期間で政府による手厚い雪害対策が決定

政権の要である官房長官の職務は極めて忙しいにもかかわらず、質問した当日の夕方に、「大島さんのご指摘は非常によくわかりました。しっかりと取り組んでいきます」と直接連絡がありました。被害に遭われた皆様のお気持ちを伝えることで官房長官も事態の深刻さを実感したと思うのです。

私は2回の国会質問を通じて地元農家の皆さんの要望、意見を閣僚、政府関係者、同僚の国会議員に具体的に伝え、政府が打ち出した対策は、私の提案に沿った内容となりました。

すなわち、㋐ハウスを再建する場合の農家への補助率は従来より大幅に引き上げられ、㋑倒壊したハウスの撤去については農家の費用負担も大幅に軽減され、㋒災害関連資金の貸付利子は貸付当初の5年間は無利子となり、㋓新規融資では償還期限と据置期間をできるだけ長く設定するように、また既往融資では償還猶予等の措置を適切に講じるように、政府から金融機関に要請することとなりました。

さらに今回の対策ではこの冬に起こった雪害であれば、農業用ハウスだけでなく、鶏舎、畜舎など農業に関係するすべての建物が対象となります。

地元のなかには日本のすべてがある

今回の対策は私の地元を含む埼玉県だけでなく関東一円に実施され、特に雪害の大きかった群馬県や山梨県の農家の皆さんに対しても救済が進められていきます。つまり、私が地元で伺った意見は関東一円の農家への対策にも反映されるわけで、私が日頃から主張している「地元のなかには日本のすべてがあって、地元のことがわかれば日本のこともわかる」ということが、まさに現実となったともいえるでしょう。

また、政府の対策は大雪から半月余りという短い期間で打ち出されました。やはり取材に基づいて被害者の皆さんの立場で質問したからこそ、閣僚、政府関係者、同僚の国会議員も真剣に耳を傾けることになったと思うのです。私の質問に対する官房長官の答弁は大変に重かったと農水省の幹部は言っています。予算を握っているのは財務省です。官房長官が動くことで、農水省や環境省の被害救済の財源を財務省が認めることにつながったのでしょう。

それが新聞や雑誌、本などの間接情報による質問ではまったく説得力がなかったでしょう。私は現場主義を貫いてきましたが、今回改めて地元を丁寧に歩いて皆さんの意見を直接伺うことの大切さを痛感したのでした。