【国会レポート】郵政民営化についての国会質問で初のテレビ中継を体験【2005年10号】

私は10月7日に行われた衆議院の郵政民営化特別委員会で午後4時から30分間、郵便保険会社について質問しました。この模様はNHKテレビで全国に生中継されました。テレビ中継されたのは初めての経験です。

私は国会での郵政民営化の議論にこれまで直接タッチしてこなかったのですが、今回、民主党の質問者に選ばれたのは、前原誠司代表・鳩山由起夫幹事長が出席する「民主党次の内閣」閣議で民主党郵政法案に対する私の指摘がきっかけでした。

国会で議論されてこなかった郵便保険会社

私は19年間のサラリーマン生活のうち後半の5年間、保険会社に勤めました。今の国会議員は学校を出ていきなり政治家になった人が大半ですから、私のようにサラリーマン経験のある国会議員は少数派なのです。

しかし保険のように庶民の生活に身近な商品についてはやはりサラリーマン経験があるほうが地に足の付いた議論ができると思っていますし、私の場合、保険会社の営業マンとして保険を自分で販売してきたので現場をよく分かっています。

「次の内閣」閣議の話に戻ると、郵政民営化法案の議論の中で生命保険の一種である簡易保険が俎上に上ったとき、ある出席者がこう言ったのでした。「生命保険は複雑な商品なので商品を作るのは非常に難しいそうだ。民営化しても生命保険の商品作りには時間がかかる」。

これを聞いて私は、その人は官僚にうまく言いくるめられたのだなと思いました。というのも、生命保険は一見複雑に見えても基本的に2種類しかないから商品を作るのは非常に簡単なのです。その点を私は指摘したのでした。

それが郵政改革担当の原口一博衆議院議員番の注目を引き、質問する日の2日前に私に「郵政民営化特別委員会で質問してほしい」と要請されたのです。

質問を引き受けた私は、これまで200時間以上行われた国会での郵政民営化の議論に目を通しました。すると、金融や民営化の技術的な話は多かったものの、郵便保険会社の議論はなされていませんでした。自分のよく知っている分野でもあるので質問は簡易保険に的を絞ることにしました。

大島の質問したポイントはこれだ!!

政府の郵政民営化法案では、2007年10月に日本郵政公社は解散し国が100%出資する持ち株会社の下で窓口ネットワーク会社(郵便局を管理)、郵便事業会社(郵便・物流業)、郵便貯金銀行(銀行業)、郵便保険会社(生命保険業)に4社化されます。

また窓口業務は、郵便、貯金、保険の3社が窓口会社に委託し、利用者は従来通りのサービスを郵便局で受けられるということになっています。

この法案を前提に私は質問したのですが、要点は以下の通りです(衆議院のサイトで当日の議事録およびインターネット映像が公開されています)。

①簡易保険には団体割引があって掛金が6%ほど安くなる。高金利のいい金融商品だが、民営化後の商品でもこの割引率は残るのか(なお6%の割引については地元の方からいただいた情報が非常に役に立ちました)。

②会社をつくれば自然と保険が集まってくるほど甘くはない。郵便保険会社の本社機能だけで4000人雇用すると試算されているが、人口が減り高齢化して日本の保険市場は徐々に小さくなっていくし、日本人は今でもアメリカ人と比べて2倍保険に入っている。そんな中で4000人もいる本社機能をどう維持していくのか。

③生命保険会社の本当の価値は販売ネットワークにあるから、郵便保険会社も保険募集人や営業マンのネットワークを付けないと成り立たない。

④郵便保険会社は、自社以外の商品、民間大手や外資系保険会社などの商品も窓ロネットワー会社を使って代理業務で扱えると理解していいのか。だとすれば、日本で一番強い生命保険の代理業が営める組織になっていくはずだ。

一生懸命働いてきた郵便局員の怒り

以上の質問については、竹中平蔵郵政民営化担当大臣、伊藤達也金融担当大臣、生田正治日本郵政公社総裁が答弁したのですが、そのほかに小泉純一郎首相に対し次のような質問をしました。

「私は今回の郵政民営化で郵便局員さんは本当に被害者だと思っています。1985年のプラザ合意以降もずっと政府は『郵便貯金を集めろ』『簡易保険を売れ』と営業圧力をかけ続け、金融危機のときには金利を下げなかったため、340兆円ものお金が郵便局に集まってしまいました。この間、郵便局員さんは一生懸命に貯金と保険を集めたのに、郵政民営化に際してその行為は正しくなかったと言われて郵便局員さんは怒っていると思うのです。それを私たち政治家はしっかりと認識して郵政民営化を進めなければいけませんが、郵政の職員の方の雇用の安定についてどうお考えですか」

小泉首相の答弁は「同感の点が多いですね。政府はやらなくていいことをやってきた。だから私は民営化を主張していたのですが、雇用をしっかりと守って収益を上げられるような会社にしていかなければいけません」というものでした。

与党議員も拍手するのが良い質問

ともあれ、質問が終わって予想外だったのは、与党である自民党議員からも「今の質問は良かった」と褒められたことでした。そう言えば、私が一年生議員で現埼玉県知事の上田清司さんがまだ衆議院議員だったころ、上田さんからこう言われたことを思い出します。

「与党の議員からも拍手が出るような質問が一番いいんだ」と。

国会審議ではいつも目を閉じているような小泉首相も目を見開いてうなずきながら私の質問を真面目に聞いていました。竹中郵政民営化担当大臣、麻生太郎総務大臣、あるいは元金融担当大臣の柳沢伯夫さんもやはり真剣な表情でうなずいていました。

地元を歩いていても「テレビで見たよ」とたびたび声を掛けられ、NHKのテレビ生中継の影響力も実感しました。

これまで国会審議では国民の目線が欠けた議論が非常に多く、そのため質問する方も答える方も専門的な話に終始しがちでした。国民の目線が欠けているのは今の多くの国会議員に生活感がないからかもしれません。それらの点を踏まえて、今後とも私は国民の目線から国会の中で誰にも分かりやすい議論をしていきたいと思っています。