【国会レポート】衆議院予算委員会の質問に臨む【2013年4号】

4月9日火曜日の午前10時から30分間、予算委員会で質問に立ちました。NHKによるテレビ中継も行われたのでご覧になった方もいらっしゃると思います。今回は、どのような準備をして私が国会での質問に臨んでいるかを説明します。

最初に予算委員会について簡単に説明すると、まず他の委員会が週2回の開催なのに対し、予算委員会は予算が成立するまで1ヶ月にわたり18日間程度開かれます。次に予算の範囲が幅広いことから、関連すればどんな質問をしてもかまいません。さらに他の委員会ではおおむねその担当大臣だけが答弁しますが、予算委員会では質問者は首相も含めすべての大臣に答弁を求めることができます(予算委員会以外では基本的に首相は答弁しません)。以上のように予算委員会は国会の委員会のなかでも特別な位置付けとなっているのです。

今回、私が質問した予算委員会は「統治機構・行政改革・政治改革等について」の集中審議だったので、私が質問で答弁を求めたのは安倍首相、麻生金融担当大臣、稲田特命担当大臣、茂木経産大臣の4人でした。

委員会の窓口となる役所に質問を伝達

予算委員会の質問者を指名するのは党の国対(国会対策委員会/国会運営について各党と協議する部局)です。「4月9日の予算委員会で質問に立ってくれないか」と突然、民主党国対の同僚議員から私に電話による打診があったのは4月5日金曜日の午後でした。質問の打診は前日か前々日が多いため、質問が4日後9日(火曜日)なら土日も挟んでいて時間があります。国対の打診では質問内容を細かく示されることはなく、具体的な質問内容はあくまでも質問者自身で考えなければなりません。今回は国対から「統治機構、行政改革、政治改革などについての質問」と言われただけでした。

翌週8日(月曜日)に、国対には私の質問テーマとして「独立行政法人の公募、公務員制度改革、自殺対策、金融円滑化法終了後の政府の対応などを質問する」と伝えました。それを受けて、国対が私の質問テーマを伝えた相手は財務省です。国会の各委員会には、経済産業委員会は経済産業省、文部科学委員会は文部科学省というように管轄に対応する形で質問を受け付ける窓口の役所がそれぞれあります。それで予算委員会の窓口は財務省なのです。

では、窓口の財務省は次にどうするのか。今回の質問は内容ごとに管轄している役所が違いますから、今度は財務省がそれらの役所に私の質問テーマを伝えるのです。ですから、今回は内閣官房、内閣府、金融庁、経済産業省ということになりました。

実のある答弁を引き出すための努力

財務省から私の質問テーマを伝えられた後に各役所が行うのが「問取り」です。これは質問取りの略称ですが、要するに、役所は質問者である私から質問テーマの詳しい内容を聞き取ろうとします。言い換えると、質問テーマだけでは具体的な中身がよく分かりませんから、前もって役所は質問者が実際にどんな質問をするのかをできるだけ具体的かつ詳細に知りたがるということです。

役所の「問取り」について大きく分けると2つの対処法があります。1つは「役所に大まかな質問内容しか教えない」、もう1つが「役所に詳しい質問内容を教える」です。前者の場合、役所側は質問の具体的な内容がよく分からないので答弁の準備に多大な時間と労力をかけなければなりません。ただし、疑惑を追求する際には有効です。一方、後者なら役所も答弁への準備がしっかりとできます。私は詳細に具体的な質問内容を伝えることにしています。そのほうが役所も準備が十分にできるので、実際の答弁も実のあるものになるからです。

共感が得られる質問の仕方に留意する

金曜日に質問が決まってから土日はその準備のために関連の資料や書類を読み込み、どのような順番でどんな質問をするのか考えます。これらは自分の頭の中で想定問答をつくっていくという作業でもあります。

いよいよ4月9日の質問当日。与党時代は答弁する立場でしたし、NHK中継もあって、久しぶりの質問を迎えて緊張しました。生の現場ですから臨機応変に話の順序や何を強調するかをつねに考えながら質問することになります。こうして行った当日の質問に対する主な答弁は、「(幹部公務員人事については)廃案となった関係法案の内容も含めて総括・点検を行い、改革を進めていきたい」(安倍首相)、「独立行政法人の公募は現内閣でも続けていく」(稲田特命担当大臣)、「金融円滑化法後に倒産するとされる5万社は大きな数字である」(麻生金融担当大臣)、「金融円滑化法後への対応はしっかり行う」(茂木経産大臣)などでした。

以上の質問はいずれも私が副大臣のときに直接携わったことと深く関連しています。なかでも約600人の幹部公務員人事を内閣が一元的に行うという公務員制度改革では、鉄鋼会社・保険会社にいた私が事務局長、日本長期信用銀行に勤めていた弁護士で衆議院議員の階猛さん(当時、総務大臣政務官)が事務局次長という民間企業出身コンビで官僚機構をしっかりまとめて推進したものでした。

今回の私の質問をテレビで見ていた方から「総理はじめ大臣が丁寧に答えていた」「予算委員会に出席していた与党の国会議員が質問にうなずきながら聞いていた」と言われました。国会の質問に同席した国会議員たちの共感がこのように得られれば、同じ問題意識を共有することができるようになります。その前提があってこそ、国民のための政治が実現できると思うのです。