【国会レポート】事業化される見通しとなった上尾道路のⅡ期区間(北本・鴻巣間)【2010年11号】

私の選挙区が深く関わっている上尾道路について、Ⅱ期区間(北本・鴻巣間9.1キロ)が平成23年度予算で事業化予定の新規道路事業10区間の1つに選ばれました。首都圏ではこの区間だけです。今回はこの上尾道路についてご報告します。

さて、現代は電話やインターネットを使って他の地域の人々と簡単にコミュニケーションを取ることができます。しかし、コミュニケーションを本当に深めるためには直接会ってのフェース・ツー・フェースの関係が不可欠です。それがないと社会の発展やビジネスの促進も果たせません。

このフェース・ツー・フェースの関係に最も大きく寄与するのは何かと言えばやはり交通インフラでしょう。中でも道路網はとても重要ですが、その意味で関東のヘソの部分に位置する私の選挙区で最も整備が求められているのが圏央道と上尾道路です。

地域の発展に大きく寄与する 2つの道路

まず圏央道について簡単にふれると、横浜市、厚木市、八王子市、川越市、桶川市、つくば市、成田市、木更津市などを環状に結ぶ幹線道路です。都心から半径約40~60キロに位置し、総延長は約300キロにも及びます。その一部はすでに開通しており、桶川市川田谷から圏央道に乗れば八王子市まで30分程度で行けますし、そこから中央自動車道に入ると桶川市から河口湖や甲府市まで1時間半弱で行けます。一部開通でも昔に比べると人と物の流れが格段によくなりました。全面開通すると、北本市や桶川市はもちろん、私の選挙区全体の交通アクセスは飛躍的に向上します。

そして、もう一つの上尾道路のほうは、冒頭でも述べたように大きな進展が見られました。

この道路は延長20.1キロのバイパスで、新大宮バイパスを起点に国道17号と並行してさいたま市域および上尾市域を北上し、桶川市川田谷で圏央道と接続、さらには北本・鴻巣市域を縦断して終点の鴻巣市箕田で国道17号と合流します。上尾道路は圏央道や国道17号、さらに沿線5市(上尾・桶川・北本・鴻巣・さいたま)の県道、市道と一体となって地域の道路網を形成します。

上尾道路の建設計画ができたのは1969年5月です。埼玉県中央地域での南北交通軸として沿線地域の発展に大きく貢献することが期待されたにもかかわらず、いまだに完成には至っていません。建設計画があるのに工事が進まなかったことで、国道17号の渋滞が解消されず、また地元の皆さんには本当にご迷惑をかけてきました。40年前から自分の家に道路が通るというのがわかっていたため、そこに家を新築することもできず、相続問題も起こるなど、今は本当に大変な状況となっています。

上尾道路はⅠ期区間(さいたま市・桶川間11キロ)とⅡ期区間(北本・鴻巣間9.1キロ)の2つに分かれています。このうちⅠ期区間については、1990年度にさいたま市西区宮前町~桶川市県道川越栗橋線の8.9キロが事業化され、1995年度に県道川越栗橋線~桶川市川田谷の2.1キロへと事業化区間が延伸しました。事業化というのは国として実際に予算措置が決まって建設するということです。

30名もの地元陳情団で必要性をアピール

上尾道路が開通しないため、県北の熊谷市や行田市への物流もスムーズにいかず、県北の発展が妨げられています。私も2000年に衆議院議員に初当選して間もなく、熊谷市出身の他党の県会議員から「大島さん、何としてもこの上尾道路を作ってください」と頼まれました。

以後、私は各国会で当時の国土交通大臣に対して「上尾道路や圏央道の積極的な整備を進めるように」と主張を繰り返したのですが、2004年の国会質問では国交大臣から「供用開始を目指して用地の取得等を進めている」という答弁を得ました。土地収用が促進され、今ではすでにⅠ期区間のうち6.3キロの暫定2車線が開通しています。

桶川市川田谷~鴻巣市箕田までのⅡ期区間は長く事業化されなかったのですが、民主党が政権に就いた2009年9月以降、私の取り組みも野党時代とは異なるものになりました。

まず上尾道路に関係する地元の上尾市、桶川市、鴻巣市、北本市という4市の市長・部長、市議会議長、議員団のほか上尾市商工会議所会頭など総勢30名もの陳情団と一緒に国土交通省を訪ねました。

そこで陳情団は政策決定者である副大臣、政務官と面会し上尾道路の建設促進を要望したのですが、これは2009年だけではなく2010年も行いました。また、私は2010年9月に内閣府副大臣を退いた後、上尾道路問題に取り組むため国会の国土交通委員会にも初めて所属しました。

特に30名もの陳情団を国交省に連れて行くというのは、地元の上尾道路に対する熱意や必要性を伝えるために重要です。周知のようにこれまで都市より地方のほうに公共工事予算が振り向けられる傾向があったわけですが、それというのも陳情団を作ることも含めて地方のほうが都市よりも強い熱意を示したからにほかなりません。そこで、私も上尾道路への熱意や必要性を国にきちんと示すために地元に呼びかけて30名の陳情団での要請をお願いしたのでした。陳情団もそれに応えて熱心に要望を伝える活動を行いました。

10年以上の努力が結実して建設促進へ

上尾道路についてはもともとB/C(費用対効果)が5.7と極めて高いので国にとっても必要な道路なのです。これに加え、地元の強い熱意が政府に伝われば上尾道路の建設促進にも大きな効果があるに違いありません。なお、B/Cとは公共事業を行う際に重視されている指標で、道路の場合は走行時間短縮といった効果を貨幣換算して建設・維持費で割った値となり、それが1以上なら投資に見合う事業効果があるとされています。

以上の取り組みによって、上尾道路Ⅱ期区間(北本・鴻巣間9.1キロ)は平成23年度予算の対象として挙げられている日本全国の新規道路事業10区間のうちの1つとなりました。今回の通常国会で来年度予算が成立すればこの道路の建設費は手当できる見通しです。

ここまで漕ぎ着けられたのも10年間以上にわたって地元の方々に支えて頂いたお陰です。今後も道路建設地域の地権者はもとより環境問題関連や周辺地域の方々との合意形成が必要ですが、地元の皆さんのご協力を得ながら上尾道路の全面開通に向けて全力で取り組んでいきたいと思います。