【国会レポート】党政策調査会の筆頭副会長に就任【2011年8号】

野田政権が発足して、私は民主党の政調(政策調査会)の筆頭副会長と東日本大震災復興特別委員会筆頭理事に就任しました。政調というのはその名前の通り、党の政策に関わることを決めるところですが、私は前原誠司会長、仙谷由人会長代行、三井辨雄会長代理(衆議院)、櫻井充会長代理(参議院)と一緒に政調を運営する責任者の立場となりました。

筆頭副会長の主な役目としては17名の副会長を束ねることです。副会長のうち13名は省庁に対応した党内の部門会議の座長も兼ねて国会活動も行っています。たとえば内閣府なら内閣部門会議、財務省なら財務部門会議などで、このような部門会議が党内に13あるので、この取りまとめも筆頭副会長の仕事です。

しかし、以上のような説明ですと外部の人にはもうひとつわかりにくいかもしれません。別の観点から説明しますと、党には大きく分けて3つの仕事があります(他党も概ね同じ)。まず党運営を仕切る幹事長のセクション、国会で法律を通すために野党と話し合いを行う国対(国会対策委員会)、そして党の政策を決める政調(政策調査会)です。

政調は企業でいえば経営企画部、戦略本部などの経営スタッフに当たるのではないでしょうか。また、国会運営を司る国対は企業ならば事業本部であり、各々の委員会運営に責任を持つそれぞれの筆頭理事(国対に所属)は事業部長に相当するでしょう。したがって今回、全社を横断的に統括する経営スタッフ部局の責任者とともに、東日本大震災復興特別委員会の筆頭理事も務めることになりましたので、一事業部の事業部長も兼ねることになった、ということです。

税金と国の予算の使い道を財務省と協議

野田政権になってから政調の権限が強化されたということも大きな変化と言えます。これまでは政府が決めた法律について党側は意見を言うだけでしたが、今後は政府も党側の意向を重く受け止めて対応することになりました。すなわち、それだけ政策を決める政調の役割も重要になったのです。

政策は予算の裏付けが必要ですから、与党が政策を作ることは、それに応じた予算を付けることを意味します。以前なら政府を中心にして動いていた各役所の人たちも、役割が重くなった政調へと足繁く通ってくるようになりました。特にそれが顕著なのが財務省の人たちで、私も筆頭副会長として財務省の主計局(予算の編成が主な業務)や理財局(国債、財政投融資、国有財産などの管理が主な業務)の人たちと協議する機会が増えました。そこで話すのはもっぱら税金と国の予算の使い道です。

政策を立案するために意見調整に奔走

私の政調での最初の大きな仕事は3次補正予算編成でした。財務省をはじめとする官庁との協議を踏まえて政調でまとめた補正の規模は約12兆円(復興関連はそのうち9.2兆円)です。

政調が提案したこの3次補正予算の基本方針は、政府の臨時閣議で決定されました。復興関連ではすでに5月の1次補正で4兆円、7月の2次補正で2兆円がそれぞれ計上されていますので、3次補正が加われば5年間で実施する約19兆円うちの8割が予算化されることになります。

また、個別の案件の中身を決めることもさることながら筆頭副会長として最も気を遣っているのが、政策立案に関する議員間の意見調整です。当選1回でも10回でも衆参の各議員は選挙区で選ばれて国会に来ているので、他の議員の命令に従う必要はありません。むしろ選挙区の有権者を代表して自分の意見を述べるのが当然ですから、私の務めもすべての議員の意見を排除することなくよく聞いて最終的な合意点を見出すことになります。これが調整業務で、得意な議員が意外と少ないのです。

閣議決定に漕ぎ着けた準天頂衛星の構想

ところで、以前(2011年5号)ご紹介した、私が予算化に取り組んだ「準天頂衛星」について、2010年代後半を目途にまずは4機、将来的には7機を国として整備していくことが9月30日の閣議で決定されました。これで今後想定される東海・東南海・南海(静岡から四国)地震や首都直下型地震への予報システムの備えが進むことになります。

また、内閣府の中に宇宙開発のセクションを作り、そこに予算が付くことにもなりました。これは大きな日本の宇宙政策の転換でもあります。というのも、これまで宇宙開発は文部科学省に所属しているJAXA(宇宙航空研究開発機構:小惑星探査機「はやぶさ」を飛ばした組織)が中心となって宇宙開発を行ってきたのですが、JAXAではあくまでも研究開発が主体で国として宇宙を利用するという観点が欠けていました。今回、内閣府に宇宙開発のセクションができることによって研究から利用へと日本の宇宙開発が転換していくことになります。

今後の準天頂衛星のシステム開発・整備・運用は初号機の「みちびき」の成果を活用していく予定です。

今回、準天頂衛星が閣議決定まで漕ぎ着けたのはやはり担当の役所(内閣官房宇宙開発戦略本部)の人たちが真剣に仕事をしてくれた成果にほかなりません。政治家として私の仕事の一つは、役所の人たちが「働きやすくて本気になれる風土」を作ることであり、具体的には各省庁間での合意形成がうまく図れるようにサポートしていくことも大切と考えています。